笑顔をつくるのが苦手だ。つくろうとすると、どうしても固くなるし、わざとらしくなる。もっと言うと、からかわれるのが苦手だ。触れられて嫌なことに触れられたら固い笑顔さえもなくなる。

今日もお酒を飲むことになったのだけれど、その場で、冗談でいじられたときに心底むっとした。笑顔でごまかそうと思ったのだけど、とてもできなかった。バカにされてもヘラヘラと笑っていることを求められていた。それが分かっていても、肩の後ろの骨から腕がはえて、ぼくのほおをひっぱっているみたいで、どうにもならなかった。

笑顔をつくるのが苦手だ。面白いことを言えない。ぼくが面白いと思うことを相手が面白いと思わないことが多い。価値観の違いを感じる。沈黙を笑いに変える力が欲しい。

ぼくの言う面白くないことをみんなが笑ってくれればいいのに、そうはいかない。みんなの言う面白くないことをぼくが笑ってあげられればいいのに、そうはいかない。みんなが面白くないことに笑えたら、どんなに幸せだろうか。

仮面を着けているみたいになるに違いないだろうけど、それはきっと微笑ましい絵に違いない。

40 min.